女郎花  その七  壁心中

 

壁があたしを 通せんぼ

前から横から うしろから

火鉢の炭も 灰になり

骨身に沁みる すきま風

 

 

 

鏡にむかい 眉を描く

気がつきゃ驚く 厚化粧

縋りつくよに もがいても

お払い箱では 仕様がない

 

 

 

壁があたしを 追いつめる

前から横から うしろから

欠けた茶碗に 酒を酌み

酔いの手前で 膝を抱く

 

 

 

この世に生まれて 不幸せ

死ぬのを指折り 待つだけか

地獄極楽 あるのなら

せめてあの世は 極楽へ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です